今日から、梅雨入りらしい。
病院の帰りに、梅の実を買ってきた。
これで、自家製の梅酒と梅干しをつくる。
今日は梅酒のほうを半分だけ仕込んで、あとの梅は追熟させることにした。
梅酒は青梅からつくるのが良いというけれど、少し調べてみたら、完熟した梅でつくってもまろやかでおいしいらしい。
去年はすべて青いままで仕込んだので、今年はまた別のやり方で、どんな風になるのかみてみたい。
梅をかごに入れて追熟させていると、その間、あまくていい香りが部屋中に広がる。
桃とすももの中間のようなあまずっぱい香り。吸い込むと思わずうれしくなるような、初々しくてかわいい匂いだ。芳香は空気まで染めるよう。黄みがかった薄い桃色の空気は、健やかな少女がまとう雰囲気にも似ている。
ベッドルームで不機嫌に起きた朝でも、ダイニングでこの香りをかげば気持ちが柔らかくなるだろう。
外で嫌なことがあっても、この空気につつまれれば、もう一度楽しいことを考えられるかもしれない。
憂鬱な梅雨のはじまりの、ちいさな救いになりそうだ。